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ヤマトの物流の心臓部である羽田クロノゲート見学に行ってきた:宅急便コンパクトの開発秘話も聞けた

昨日、【クロネコヤマトのアンバサダープログラム】のイベントに参加し、羽田クロノゲートの見学および6月より始まった宅急便コンパクトの開発秘話などを聞いてきました。

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そもそもクロノゲートとは何ぞやという方が多いのではと思います。
私も、オークションやフリーマーケットアプリ、その他一般的な荷物の運送でヤマトの宅急便サービスには日頃からお世話になっているわけですが、クロノゲートについては聞いたことはあるけど何をしている場所かは知りませんでした。

また、クロネコメール便に変わるサービスとして始まった「宅急便コンパクト」
こちらはまだまだ知名度が低いのではと思います。
通常の宅急便と何が違うのか。

そのあたり諸々を聞いてまいりましたのでご紹介します。

ちなみに、クロノゲート見学コースについては荷物に貼られた伝票などの個人情報を保護する観点から撮影が全面的に禁止ですのでその部分の画像はありません。
ご了承ください。

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目次

羽田クロノゲートとは

まず、今回訪れた羽田クロノゲートですが、この施設は地名通り羽田空港の近くに建てられた流通の心臓部となるヤマトの施設で、2013年10月に竣工。
地方にもある「ベース」と呼ばれる荷物をまとめて仕分けする施設の役割を担いつつ、これまでになかった「付加価値」を見出すことをコンセプトとした新しい総合物流ターミナルとなっています。

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ちなみにクロノゲートという名前の由来ですが、ギリシャ神話における時の神<クロノス>と国内とアジアの「門」となるという意味の<ゲート>を組み合わせた造語であるとのこと。

具体的に何をしているのか

クロノゲートでは、地方から集められた荷物を高速で仕分けしたり、これまでになかった「付加価値」を付けたサービスを提供しています。

まず、仕分けのシステムですがこれが有名な羽田クロノゲートの見学ツアーで見られる部分となります。

仕分けシステム

まず、地方から集められた荷物はこの施設の1Fでトラックから降ろされ、ベルトコンベアに一つずつ載せられます。
トラックは最大で104台同時につけることが可能。
コンベアに載せる作業に関しては人間の手のほかにロボットアームを採用しており、荷物の重さや形状を認識した上でピックアップできるとのこと。

載せられた荷物は2Fへと上がっていき、箱や袋に貼り付けられた伝票にあるバーコードを読み取る装置を通ります。
上、左右前後から発射される赤外線によってバーコードが読み取られ、どこのシューターまで行くのかが瞬時に把握されるようになっています。
次に、かなりの速さで常に動いているセル型コンベアである「クロスベルトソーター」に荷物が乗っかり、各地域ごとに分けられた出口へと自動的に運ばれる仕組みとなっていました。
このクロスベルトソーターですが、ベルトコンベアの上にプレートが設置されていて、1つのプレートに対して1つの荷物が乗るようになっています。

このクロスベルトソーターに荷物が乗る場面は、車の合流のようなイメージで、すでに流れている荷物の間(空いているプレート)に狙いを定めたかのようにスッと乗り込みます。
クロスベルトソーターの手前には速度の変わるベルトコンベアが設置されており、重たい荷物の場合でも軽い荷物の場合でも正確にクロスベルトソーターに「乗車」できるように速度を調整しているようでした。
ちなみにクロスベルトソーターのプレート1つ1つにも仕組みがあり、加速して送られてきた荷物の速度を吸収するために横方向にベルトコンベアがついていました。
送られてきた荷物の速度を殺す仕組みが備わっていますので、クロスベルトソーターを通り過ぎて落っこちてしまったり、過度な衝撃によって荷物へのダメージが加わる心配はないようです。

この仕分けシステム、山手線のように円を描く形で回り続けています。
「クロスベルトソーター」という電車に乗った荷物はそれぞれ運ばれる地域の駅へと運ばれるのです。
この駅を「シューター」と言い、1Fまで降りて行くための道となっています。
降りた荷物は再度、地域ごとのトラックに積み込まれ、御客様の最寄りの事業所へと発送されます。

このシステムによって人為的に起こる仕分けミスを防げるだけでなく、非常にスピーディに仕分け作業が完了するので荷物の集荷から発送までが短時間で済む。
故に、今日送った荷物が明日には届くという海外では信じられない程の配送速度が実現できているわけですね。

参考にはなりませんが1時間に48000個の仕分けができるそうです。
これが如何に凄いのかなかなか想像つきませんが、偉大な数字であることは確かです。

尚、24時間絶え間なく動いているコンベアですが、万が一トラブルがあった際にも即座に対応できるように集中管理室が2Fに設置されていました。
この部屋、よくドラマでみるモニタが沢山ある司令室のようになっており、モニタ数は24個、その他に指示を飛ばすためのマイク等がありました。
どこの部分でトラブルが起きているのかが視覚的にわかる表示となっており、物流が極力ストップしないように注意を払っているようです。

又、トラックドライバーの方へ天気や渋滞などの情報を提供する役割も担っているようです。

付加価値サービス

クロノゲートは9階建ての建物となっており、上で記載した内容は1F~2Fについて。
3Fより上の階については7Fまで話を聞けました。

「付加価値」というのは、これまでヤマトが行ってきた荷物の配送サービスだけではない「何か」を指しています。

  • 家電等の機械を作っているメーカーと提携し、御客様から受け取った修理が必要な製品をメーカーに送ること無くクロノゲート内で修理し、返送するメンテナンスセンター
  • 病院等で使用されている医療品や医療用機器の分解・メンテナンス、洗浄等を行うメディカルセンター
  • 印刷物を御客様の代わりに印刷し、封入、発送するオンデマンドセンターによるパッキングサービス。
  • 住宅設備の設置などの研修を行うフィールドサポートセンター
  • 単身赴任向けの家電レンタルサービス

この他に、自社のクオリティを維持、向上するための設備として

  • 荷物を梱包している箱の耐久力(振動、落下、圧力、湿度、温度)を試験する包装技術研究所
  • 空港で通関業務を行うこと無く、クロノゲート内で行えるスピード通関システム
  • 海外製品に対して日本語の説明書を添付するサービスを行い、そのまま発送できるローカライズサービス

などなど、紹介しきれない程に色々な「付加価値」を付ける施設、サービスがクロノゲートには備わっています。

宅急便コンパクト

前半でクロノゲートの見学。
後半部はセミナールームで6月29日よりの新サービス「宅急便コンパクト」の開発に関する話を聞くことが出来ました。

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この宅急便コンパクトですが、以前あったクロネコメール便に変わるサービスとして始まりました。
メール便は80~160円という低価格で書類やCDなどといった薄めのものをポスト投函できる素晴らしいサービスで、私もオークション等で売買したものの発送によく使っていました。
このサービスがなくなってしまったのは非常に残念ではありますが、新たなサービスとなる宅急便コンパクトとは如何なるものなのか。

専用BOX、専用伝票を使用するサービス

これまで、宅急便というと大きな箱を使用して仕送り品や企業間の製品の取引に使用られてきましたが、ここ最近のニーズは小型の箱に変化しているとのこと。

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これは上でも挙げたようにオークションやフリーマーケットアプリで取引される商品の受け渡しに使用されるケースがかなり増加しているということで、箱いっぱいに荷物を詰めるというこれまでの宅急便とは違い、ある1つのモノを送るために利用される事が増えたとのこと。

送るモノとしても、手作りのストラップがフリマアプリでは人気製品なんだそうですが、通常の宅急便では60サイズという大きさに対して商品がかなり小さい為、割高感が否めません。

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そこで、箱は60サイズよりもかなり小さく、梱包する手間を極力少なくできるようにというニーズに応えるべく、専用箱が開発されました。

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図面データから実際に箱を組み立てるという作業を嫌になるほど行い、一番最適な形を探すという意外にもアナログな方法で開発は行われたそうです。

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名前も「スマートボックス」や「Sパック」等、色々と考えたようです。

そして現在使用されている箱がコチラ

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天面から底の部分までつながっているので(サイコロを開くイメージ)従来のダンボールのようにまず底を作る作業というのがありません。
側面は貼られた状態となっている両面テープの剥離紙を剥がし、押さえつけると簡単に専用箱が完成します。

出来上がった箱のサイズは「専用BOX」で25×20×5cmと、A4サイズより少し小さめのサイズ。

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ちなみに、下画像の薄型BOXは24.8×34cmとなりA4でも入る大きさとなります。

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料金や重量

宅急便となると気になるのは料金。
通常の宅急便では、例えば60サイズ(縦横高さの合計が60cm以下)の場合、重量は2kgまで。
重量が2kgを超えるとそれに適したサイズ別の重量と照らし合わされて料金が決定します。
一番大きいサイズで160サイズ、重量は25kgまでとなります。
これより重いものに関しては「宅急便」ではなく「ヤマト便」というサービスで取り扱い可能。

さて、宅急便コンパクトの重量はいくらまでOKなのかと気になるところですが、これが意外にも無制限なのです。
勿論開発段階で色々な想定が行われたようですが、例えば身近なもので重い物といえば鉄があります。
鉄を専用BOXに詰め込むと約3.75kg(ギッシリ詰め込んで)

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鉄より重いもので計算するとどうなるのか

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その結果がこちら。
オスミウムというのは万年筆の先に使われる素材らしいです。
金とかプラチナとかを詰めるのはあまりにも現実的でない…。

結果として、どんなに詰めようとしても鉄の約4kg程度が限界ということで、重量の制限なしでも大丈夫ということになったんだそうです。

専用BOXの価格ですが、65円(税込)が送料と別途でかかります。
ダンボールが手元にない場合、ホームセンター等で買ったり、スーパー等で貰ったりと調達方法は色々あります。
この65円という価格が果たして安いのかどうかは人によって感じ方が違うと思います。

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そして送料ですが、最安値(同地域)594円(税込)
ここから、クロネコメンバー割、デジタル割、持込割の最大3つの割引を適用することでさらに安くすることが可能です。
60サイズの宅急便の最安値は756円(税込)
専用BOXが65円であることを考えても(専用BOXでしか送れないため箱代は必須)通常の宅急便よりは安い計算です。
比べると、適切なサイズを送る際には宅急便コンパクトがお得ということがわかります。
さらに、お届け日と時間帯の指定もできますので、使い勝手はイイと思います。

緩衝材を入れる手間、処理をする手間を省く

荷物を梱包する際に、紙や発泡スチロールを隙間に詰めて箱のなかで荷物が動かないように固定するというのはごく一般的な方法ですよね。
しかし、それらは輸送中には役目を果たしていてもその後はただのかさばるゴミとなります。
この問題を解決するのが新しい梱包材の「クイックフィットエコノ」

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Amazonで買い物をしたことがある方はわかると思いますが、荷物にラップ状の膜が張り付くことで動きを抑制するアレに近いものです。
使い方は簡単で、この膜をたわませた状態で荷物を板と膜の間に挿入、その後、板を折り返すことで膜にテンションが掛かり、荷物が固定されます。

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サイズは専用BOXにピッタリ入るように設計されていますのでコレで固定できるのであればほかに緩衝材は必要ありません。

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サンプルとして他のブロガーの方のカメラを入れた図ですが、膜や板と商品が擦れたりすることもないので非常に安心感があります。
少し高級なモノ(時計等)でも安定して輸送できますのでそういう取引が多い方にはかなりオススメな梱包材だと思います。

ちなみにこちらは1枚50円とのこと。
輸送中の衝撃で大切な荷物が壊れてしまう恐れを考えれば安いのではないかと思います。
勿論、クロノゲートの仕分け作業を見学して荷物に対する扱いが丁寧だという事がわかった上で、さらに安定、安全を求める場合の話ですけども。

ご当地BOX

地域によって柄の違うBOXがあるようです。

広島だと、宮島の鳥居と鹿がデザインされたBOX.

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開封する際のミシン目の下にもネコと鹿が並びます。

沖縄だとハイビスカスとシーサー。

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同じくミシン目下にはシーサーとネコ。

ご当地BOXは今後、全国的に展開していきたいとのことでしたので、自分が住んでいる地域のBOXもできたらイイなと思いました。
ちなみに私は埼玉県在住ですけど、なんかありますかね?…。うーん。。

その他とまとめ

この他に、今回のイベント参加者向けにオリジナルBOXを作ってくれるという粋なはからいがありまして、私はこんなデザインをお願いしました。

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正面ネコの青ライン。
届いたらどんな形でかはわかりませんが取り上げてみようと思います。

軽食としてクロノゲート敷地内に有るスワンカフェ&ベーカリーのドーナツも頂きました。

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こちらは障がい者雇用促進と自立支援を推進する株式会社スワン(ヤマトグループ)の商品で素朴な味の中に広がる控えめな甘さが良く、とても美味しかったです。

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でかいクロネコがいたり

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宅配用ウォークスルーバンの1号車が展示されていました。

大人になってから行く社会科見学は予備知識や興味がある分、小学生の頃の社会科見学と違って一層楽しめるものでした。
一般の方でも公式HPから予約することで見学ツアーに参加することは可能ですので、家族揃って社会科見学というのも良いのではないでしょうか。
子供には勿論、大人も一緒になって楽しみながら物流のシステムを学ぶことができる羽田クロノゲートの見学ツアー、オススメです。

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